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The illustration of this happy bath
time is drawn by saki-sama. I appreciate from the bottom of my heart. Thank you♪ |
総ちゃんのシアワセ♪ 番外〜お風呂でシアワセ♪〜 総ちゃんは今お風呂で土方さんに「しゃぼん」で洗って貰っています。 土方さんが松前屋さんから「しゃぼん」を良く泡立てて、それで洗うとお肌がぴかぴかになると聞いたからです。 土方さんは早速「しゃぼん」を松前屋さんから買いました。 それはとっても珍しい舶来のものだったので、すごく高かったのですが、総ちゃんのためならお金に糸目をつけない土方さんは、勘定方の河合さんを脅して買ったのです。 河合さんはねちねち一刻も文句を言い続けたので、土方さんは「嫌な奴」と思いましたが、総ちゃんのお肌を磨く為にじっと我慢してお金を貰いました。 ひいては自分の楽しみにもなるからです。こういう時の手回しの良さと忍耐は見上げたものです。 泡だらけの総ちゃんの白いすべすべのお肌から、ときおり桜色の土方印が見え隠れします。 土方さんはシアワセでした。 その時土方さんの耳にお風呂の板戸の向こうから、最近では伊東さんより嫌な声が聞こえてきました。 『よぉ、総司、土方さんに洗って貰ってるんだって?』八郎さんの声は良くとおります。 あんまり気持ち良くてうつらうつらしていた総ちゃんは、いきなり目が覚めて、次には心臓がどきどきしてきました。 おろおろと土方さんを見ると、今日は妙に落ち着いています。 はてな?と思ってみていると、土方さんは八郎さんに声を掛けました。 『伊庭、そこにある「しゃぼん」の残りをとってくれ』 『戸を開けてもいいのかえ?』 『いいぞ』土方さんは楽しげに言いました。 総ちゃんはびっくりして、目をぱちくりさせてしまいました。 いつもはあんなに警戒をしている八郎さんに、妙に寛大な土方さんが気になります。 実は土方さんは総ちゃんのお肌にほんのり残る「土方印」を、八郎さんに見せ付けてやろうと思っているのです。 上手いことに、「しゃぼん」の泡で総ちゃんのお肌は適度に隠れています。 全部見られちゃう心配はありません。 ちらちらと薄紅色の「土方印」を見せて、八郎さんに一泡吹かせてやろうと思ったのです。 (泡吹いて地団駄踏め!伊庭)土方さんはお腹の中で笑いがとまりません。 『じゃ、開けるよ』八郎さんはガラリとお風呂の板戸を開けました。 八郎さんは総ちゃんのお肌にちらちら残る「土方印」を見て、動けないようです。 物音ひとつしません。 (ざまーみろ)土方さんは内心、声高らかに一句捻りたい位でしたが、お顔は「新撰組副長用」を崩せません。 『土方さん・・・・』八郎さんの何だか寂しそうな声がしました。 余裕のお顔をして土方さんが振り向くと、八郎さんは「お手上げ」の仕草をして、首をふりふりと振りました。 『あんたって人はいつまでたっても、誰にでもオンナジ場所に印つけてんだねぇ・・・まぁそんだけ几帳面でなけりゃ新撰組副長なんざ勤まらないわなぁ』 八郎さんのけたけた笑う声が、お風呂中に響き渡ります。 『総司、早く上がれよ。今日は土方さんが女に手を出してしくじった店の手拭じゃないぞ。丹波の白羽二重で特別に作らせた柔らかい手拭で拭いてやるからな』 八郎さんはいつのまにか、お高そうなしっとりとした手触りの手拭を持って総ちゃんを待っています。 『のぼせる場所を間違えちゃぁいけねぇよ』 八郎さんはもう一度大きな声で笑いました。 総ちゃんがいつのまにか潤んでしまったお目目で土方さんを見ると、土方さんはぶくぶくと泡に沈んでいました。 総ちゃんはその泡がひとつ上にのぼって、途中でぱちんとはぜちゃったのを、ぼんやりと見ていました。 シアワセってあぶくのようだな・・・と、うつろな心で思いました。 その時土方さんは泡に沈みながら、勝っちゃんに「私ノ金策ヲ許サズ」を破っちゃったのがバレル前に河合さんを切腹させちゃおうかな・・と、ふと思いました。 土方さんは八つ当たりとういう言葉を知りません。やれやれ困ったものです。 |