春ざれ  (四)




 結局八郎は来ず、宗次郎一人が松風の話相手になった日から、五日が経っている。
 その八郎は今、松風の家の座敷にいる。

「若さま」
 手元の絵に見入っている秀麗な面ざしに、幾分遣る瀬無い風情の声が掛った。
「何だえ?」
 それに視線を上げないで、間延びした声だけが返る。
「あたし如きが申し上げるのも何ですがね、この恋に関しちゃ、若さまには勝ち目はございませんよ」
「そうかえ?」
「そうですよ、横恋慕なんざ愚の骨頂。若さまだって分かっている筈ですよ?この際野暮は捨てて、手を貸して上げたらどうです?」
「何に?」
「宗次郎ちゃんの恋に、ですよ。男が上がりますよ」
「嫌だね」
 斜めに見上げた笑い顔が、憎らしい程小粋だった。
 が、それも一瞬の事で、すぐに視線を絵に戻してしまった八郎に、松風は、今度は憚りの無い大きな溜息をついた。

 ――宗次郎を描きたいと頼るにあたり、八郎はひとつの条件を出した。
 それが今、八郎の手にある絵だった。
 絵の中には、八郎と宗次郎の二人きり。
 更に宗次郎が柔らかく笑っているものが良いと、八郎は伝えた。
 それを聞いた時松風は、八郎の、宗次郎への想いを知った。
 だが宗次郎には他に好いた人間がいるらしい。
 そしてその事を、八郎も知っている。
 八郎は己の恋が、成就を見ずに終わるだろう事を予期している。
 だからこのような図を所望したのだ。
 松風はそんな風に解釈した。
 ならばせめて絵の中では幸いの時を築いてやりたいと、握った筆に、松風は松風なりの思いを籠めた。
 ところが目の前の若者は、その松風の思考の範疇を超え、強(したた)かに、そしてしなやかに、初めての恋を己の掌中に掴もうとしている。
 自分よがりの感傷は、要らぬお世話だった。

 胸の裡で苦笑した筈が、それを気配で察したか、八郎が松風をちらりと見た。
「何だえ?」
「いえね、若さまも案外なものだと思いましてね」
「野暮って、かい?」
「そう、野暮。粋と野暮は紙一重でございますけれどね、そこの処の駆け引きが難しい。粋も過ぎりゃ野暮、野暮が過ぎりゃ…」
「莫迦になる?」
「さぁ?」
「莫迦でいいさ」
 口辺に笑みを残しながら、八郎は再び絵に視線を落とした。

 其処に、宗次郎がいる。
 淡い色の花の下で、柔らかく笑いかけている細い線の頬には、まだ少年を脱し切れない硬質さが残る。
 それが桜と云う花の持つもう一つの顔、儚さと相通じる。
 筆は、花を描いていながら宗次郎を描き、宗次郎を描いていながら花を描いている。
 一瞬どちらが主か見紛うようでいて、その実どちらも主に成り得る、確かで、そして見事な技量だった。

「で、あっちの宗次郎は、どうするのだえ?」
 八郎の視線が、つと動いた。
 松風はもう一枚、宗次郎を描いていた。
 本来は其方が主で、八郎の手にあるものは、その副えだった。
 問うたのは、主の方の絵だった。
「あれはあたしのものですよ」
「分かっているよ」
 絵は二枚とも、世には出さないからと云う約束だった。
 だから八郎も、この話を引き受ける事にした。
 二日目を宗次郎一人にしたのも、始めからの計らいだった。
 だが何故松風が其処まで宗次郎に固執したのか、それには八郎も興味がある。
 ひたと向けた双眸は、その疑問へのいらえを欲していた。
 だが松風は、
「ひみつ」
 一言一言区切るように悪戯げな目をして笑うと、口を噤んだ。
 風邪が吹いた。
 頬を撫でるように過ぎたそれは、しかし屋外では案外に強いものだったらしく、たわわに花をつけた枝を大きく揺らし、一瞬の花吹雪を作った。

「花も、仕舞いでございますねぇ…」
 舞った花弁が地に下りる、その寸暇の間すら惜しむような声を、八郎は、封じ込めてしまった想い人の姿に魅入りながら聞いていた。






「松風、枝折戸が開いたままだったよ」
「あら、富弥兄さん」
 庭を回り、不意に現れた姿に驚いた風もなく、濡れ縁にいた松風が顔を上げた。
「風変わりな絵師のひとりふたり盗人(ぬすっと)に殺されたって、このご時世じゃ瓦版にもしてくれないよ。それでなくても、ここらは寂しい処なんだから用心おし」
 品の良い細面には似合わぬ辛辣な物言いだったが、芯に相手への親しみ、慈しみがある。
「上がってよ、兄さん」
「ここで結構、ちょいと日本橋に用があって寄っただけだから、すぐに帰るよ」
 用意して来た座布団を使わず、富弥と呼ばれた男は、じかに濡れ縁に腰かけた。
 若くは無いが、細い背が、清々しく伸びている。
「木挽町には?」
「寄ったけれど、あの辺りもずいぶん変わったね…、おや、新しい絵かい?」
 淡々と応えていた富弥だったが、その視線が、松風がつい先ほどまで見ていた一枚の紙に向けられた。
「そうよ」
「……」
「綺麗な子でしょう?」
目を細めた富弥に、松風の頬が嬉しそうに緩む。
「あたしの、一目惚れ。どこの子か分からなくて、漸く探し当てたのよ。でもこの絵を描き終えた時、あたしは初めて、ああ絵描きになって良かった、本望だと思えたわ」
 いらえの無いのを良い事に、松風の声はひとり悦に入っている。

 絵は、桜の木の下に佇む少年と、その少年を包み込むように舞い散る桜吹雪を描いたものだった。
 見上げる少年の面ざしは、一瞬自分を襲った花の群れの美しさに陶酔しているようにも、どこかに攫わてしまいそうな錯覚に怯えているようにも思える。
 だが絵はそれだけでは終わらぬものをも訴えていた。
 桜を見上げている少年の横顔に、美しく、そして儚い、見る者の心に切なく沁み入る何かがある。
 それは初めての恋の幸いに酔い、そしてその幸いに怯えた者だけが知る、あやうい心情にも似ていた。
 この絵を見た刹那、少年に、過ぎた己の恋心を重ね、甘美な想いに捉われる者も多かろう。
 そんな絵だった。

「これも岩佐屋さんの仕事かえ?」
 顔を上げた富弥に、松風はゆるく首を振った。
「これはあたしの仕事。あたしがどうしても描きたくて描いたの。生涯手元から離さないつもり。ま、兄さんが困った時は売る覚悟ですけどね」
「そりゃ、ありがとうよ。でもお前も相変らずの気分屋だね。この絵を世に出せば、間違いなく名が売れるだろうに」
 そう茶化しながらも、富弥にも松風の云う事は分かる。

 この絵は、どんなに卓越した腕を持つ彫師が技を駆使し、刷師が綿密に色を重ねても、世に出すには無理がある。
 絵は心の風景を描いていてる。
 だから精密に彫れば彫るほど、、色を重ねれば重ねるほど写実感が強くなり、逆に絵を殺してしまう。
 そう云う意味で、松風一人の筆で始まり、そして終わるものだった。
 その事は富弥のような素人にも分かった。

「それにそう云うもんじゃないんですよ、この絵は」
 座敷から茶道具を持って来ると、松風は慣れた手つきで茶を淹れた。
「じゃぁ、どう云うものだって云うんだい?」
 まだ蘊蓄を聞かされるのかと、富弥の声が笑っていた。
「光五郎兄さんが亡くなった時…」
 それを耳に素通りさせながら、すっかり花を落とした桜の木に、松風は目を遣った。
「兄さんを桜の木の下に連れ出して、何故泣かなんだって、あたしが怒ったのを覚えている?」
「どれほど昔の話を持ち出すんだい、お前は」
「そうしたら兄さんは、光五郎兄さんが魂を持って行っちまったから泣けないんだって、笑ったの」
「へぇ」
 打った相槌は、まるで他人ごとのように素っ気ない。
「その時だった…。夜風に揺れた桜が、待っていたかのように一斉に花弁を舞わせて、兄さんを包み込んでしまったの。一瞬兄さんの姿を見失ったあたしは、本当に光五郎兄さんが連れに来たんじゃないかって恐ろしくなって、両手で花をほどくようにして、兄さんの姿を探した…」
「そんな甲斐性のある男だったかね、光五郎は?」
 笑った声に、名を馳せた女形だった昔を彷彿させる艶がある。
「茶化さないで下さいよ。でもね、あの光景は今もあたしの心を鷲掴んで離さないんですよ。綺麗すぎて怖い…。そんな気持ちもあるんですねぇ。その時、あたしは決めたんです、絵描きになろうって。芝居じゃ、この一瞬の思い、情景を止めて置かれない。でも絵ならそのままに止め置く事ができるって」
「人の所為にするんじゃないよ」
「いいじゃないですか、たった一度の生涯なら酔狂に生きるのも。…ただ、あたしを魂から揺さぶったあの時の光景には、もう二度と巡り遇う事は無いだろうと思っていた」
「ところが、この子を見た瞬間…」
「遇えたんですよっ、もういっかいっ。胸に痞えたままに仕舞った昔が、こう、さぁっとあたしを包んで…顫えが来て…。ここでこの子を、この光景を描かなけりゃ、今度こそ悔やんでも悔やみきれないって。考えるより先に、足が走り出していたわ」
「それで、描いたのかい?」
 笑いを含んだ声に、松風が、真剣な面持ちで頷いた。
「…蘇った昔が、花吹雪のように、さぁっと包み込む…ねぇ」
「そう、もう一度やってきたんですよ。桜が兄さんを攫ってしまうと顫(ふる)えた、怖い程綺麗だった、だからこの時を封じ込めてしまいたいと願った、魂から揺さぶられるようなあの一瞬が。…確かに、花吹雪と一緒に来たんですよ」
 取り憑かれたように松風の声は、いつの間にか、長閑に鳴いていた草雲雀の声すら潜めてしまった。
 だがそんな事は、当人には頓着無い。
「…豪奢だから、寂しい。美しいから、哀しい。だから同じ魂を持つ者を見つけ攫おうとする。…そんな摩訶不思議な生きものが、桜には棲みついているのかもしれないわ」
 最後に、松風は、甘美な夢にたゆたうように吐息し、己の語りの余韻を探すように、桜を見上げた。
 その松風の感傷には付き合わず、富弥は絵に視線を戻した。
「…どうやら」
 不意の声に、松風がこちらを振り向いたのが分かった。
「花が、お前を探しているらしいよ…」
 が、富弥は絵から目を離さない。
「だから魔物に攫われちまわないうちに…」
 その目が、優しい。
「歳三さんが気づいてくれるといいねぇ、宗次郎?」
 柔らかな声音が、絵の中の少年に語りかけた。
 
 いらえの戻らない奇妙な沈黙が起こった。
 その静かさを待っていたかのように、再び、雀の鳴き声が聞こえて来た。
 だが松風の声は、ぴたりと止まったままだ。
 流石に訝しく思ったか、富弥が視線を上げると、其処に、息を詰め、呆けたように、ありとあらゆる造作を丸くしている顔があった。
 松風はご丁寧に、口までぽかりとあけている。

「なんだいお前、その顔は」
 可笑しそうな笑い声が、からりと乾いた風に響き渡った。








後日譚 -京にて-


「伊庭」
 後ろから掛った低い声は、不機嫌を隠さない。
「何だえ」
 それを右から左へ聞き流して、八郎は焦らすようにいらえを返した。
「俺は仕事をしている」
「らしいな」
「分かっているのなら消えろ」
 振り返りもせず、文机に向かったまま命じた声が、あからさまに尖った。
「行くよ。が、折角の季節。あんたも仕事仕事と追われ、花の盛りも知らず終わるのは気の毒だから、良いものを持って来てやったと、さっきから云っているだろう?」
「要らん」
「琴場松風を、知っているか?」
 相手の苛立ちなど歯牙にもかけず、謡うような調子の声が春風に乗った。
「今じゃ江戸屈指の絵師だ」
 土方は、もう返事もしない。
 無言を決め込み、このいけ好かない恋敵を一刻も早く追い出す算段に出たらしい。
 が、八郎は頓着無い。
「その松風が七年前の春描いたのが、これさ」
 庭に向けていた体をゆっくり回すと、八郎は、手にあった巻紙の紐を解いた。
 巻くと云う程大げさなものではなかったが、それでも窮屈から放たれた紙は、勢いづいて膝から転がり、やがて文机の横でその端を止めた。
 無理矢理視界を翳めた影に、土方の視線が苦々しく動く。
 が、その寸座。
 表情と云うものが読み取りにくい端正な横顔の眉根が寄った。
「俺も絵には興が無かったが、松風が一命を賭して描かせて欲しいとまで云っただけの出来だとは思うね」
 無言で凝視している耳に、八郎はやや大仰に、感嘆の声を聞かせた。


 満開の桜。
 その木の下に、二人の少年がいる。
 一人は幹に背を預け、もう一人は、花の重さに負けて撓る枝に触れたいのか、手を伸ばしている。
 その顔が、幹に凭れている少年へ、はにかむように笑っている。
 あまりに真剣に花に触れようとしていた様をからかわれ、それを恥じている、そんな風情だった。
 絵は写実的とは云い難い。
 むしろ淡い色彩は細部を曖昧にし、全体にはぼんやりとしている。
 しかし一瞬見ただけで、そこまで見る者の想像を容易に掻き立てる技法は、この絵を描いた者の天凛を十分に伝えていた。
 だが土方の視線を釘付けたのは、それではない。
 絵の中で笑う少年の姿だった。
 ――宗次郎は、八郎に笑いかけている。


「知らなかったのかえ?」
 土方が絵に見入ったのは寸の間だった。
 再び仕事に戻ってしまった背に、意外を装った声がかかる。
「ま、あいつも気恥ずかしかったのかもしれねぇな」
 開いた絵を又大事そうに巻き戻しながら、頑としていらえを寄こす気の無いらしい相手に、八郎は目笑した。

 天道が傾けば肌寒いものの、陽の勢いは強く、今が芳春を告げる。
 惜しみなく降り注ぐ光の襞の中、八郎は気持ち良さそうに両腕を上げ背筋を伸ばした。
 そのまま、脇に置いた刀を引き寄せると立ち上がった。

「総司の奴、そろそろ帰ってくる頃だな」
 遠くに聞こえるのは、昼八ツの鐘だろう。
「じゃぁ、俺はあいつの部屋で待つとするよ」
 からかうのにも飽きたと云う風に云いおくと、さんざん邪魔した無礼も詫びぬ足が、軽く敷居を跨いだ。


 その足音が遠のくや、固く結ばれていた唇から舌打ちが洩れた。
 憚る気は無かったらしく、それが証拠に、土方の眉間は狭まったままだ。
 そんな苛立ちを慰撫したかったのか、それともからかいたかったのか、桜の花弁がひとひら、気まぐれな風に運ばれてきた。
 淡い色の花弁は、一休みでもするかのように、まだ墨も乾かぬ紙の上に羽を休めた。
 その寸座、土方の脳裏に、先程の絵が蘇る。

 満開の桜。
 笑っていた、宗次郎。
 はにかむように、笑っていた宗次郎。
 八郎に、笑いかけていた宗次郎…。
 途端、筆を握っていた手が、目の前の花弁を、忌々しげに振り払った。
 同時に振られた筆が、黒い飛沫を、思いもかけず遠くまで飛ばした。
 考えるより早く、感情を先走らせたが故の、失敗だった。
 この片づけで、又仕事が中断する。
 土方は、今日二度目の舌打ちをした。

 「誰かっ、誰かいないかっ」
 反故になった紙を丸めながら怒鳴った声が、麗らかな陽気を邪険に裂く。
 遠くから、慌てた足音が聞こえて来る。
 この指揮官のご機嫌をこれ以上損ねないよう、足音は急いでいながら、しかし辿り着くに、どこか怯んでいた。


 
 どんなに引き締めようと、頬が緩む。
 あの絵を見せた時、土方の中に渦巻いたもの。
 驚愕と、そしてみるみる膨れ上がる悋気――。
 それを思うと八郎は、愉快が止まらない。
 あの絵は生涯、他人の目に触れさせるつもりは無かった。
 それを破らせたのは、昨日、総司はと訊ねた折、奈良へ出張だと告げた土方の唇の端にあった、嘲笑いだった。
 その皮肉な笑みが、八郎の癇の虫を逆撫でした。
 喧嘩を売られたから、買った。それだけだ。
 だから大人げないなどとは、これっぽっちも思ってはいない。
 それに絵を見せたのには、もうひとつ、八郎の心の変容があった。
 絵を己一人のものにしておく決意は、時の経過と共に、少しずつ変わり始めていた。
 
 当初、この絵を誰かに見せたら、宗次郎への想いは成就しないのではないかと云う錯覚に、八郎は陥った。
 それはもしそうしたら、幸いは絵の中だけで終わってしまいそうな、そんな恐れにも似た感情だったのかもしれない。
 だから絵は宗次郎自身も知らぬ秘密だった。
 だが今は違う。
 請われれば、絵は誰の目に触れさせても構わない。
 人を想う心と、常に背中合わせにある苦悩。
 喜びと、切なさ。
 愛しさと、悋気。
 長い片恋の時は、八郎に逞しく強(したた)かな精神を宿した。
 それでもこの絵を見るたび捉われる、一瞬の、甘く、忍びやかな思いだけはどうしようもない。

 絵の中の宗次郎は、笑っている。
 花の下で、自分だけに笑いかけている。
 見返すたび、胸の奥の一番優しい部分を締め付けられる、この切なさだけはどうにもならない。
「…仕様が無いだろうさ」
 己ではどうにもならないらしい感情を諦めと共に仕舞うと、八郎は足を止めた。

 中庭に、小さな桜の木がある。
 それはあの日、松風の家で見たものよりもずいぶん小ぶりだが、それでも外の桜に負けず、盛りの花を付けている。

――もう少し…。

 細い腕を伸ばしながら、枝を見上げ、もう少しで花に触れられるのだと呟く声が、いずこからか聞こえてくる。
 そしてそれは、八郎に、まだそう遠くは無い小年の時を遡らせる。
 止めて置きたいたかった、幸い。
 封じ込めてしまいたかった、想い人。
 しかし今自分が行きたいのは、絵の中では無い。
 恋に焦がれ、恋を恐れた昔では無い。
 行きたいのは、今より先だ。

「もう少し」
 宗次郎の声に重ね呟いた声に、迷いは無い。
 …もう少し。
 もう少しその先に、何があるのかは分からない。
 だが八郎は、重ねた花弁に、数多(あまたの)陽を吸い、光を弾きながら絢爛と咲き競う花々の、更にその先を、真っ直ぐに見据えた。















短 編